【ディスクレビュー】運命に向き合ったOfficial髭男dism「アポトーシス」

「アポトーシス」Official髭男dism

「細胞の死。細胞自体に組み込まれたプログラム。」

「アポトーシス」という言葉を検索すると、上記のように説明がされているだろう。

2021年8月18日(水)リリースのアルバム『Editorial』のリード曲である、Official髭男dismの『アポトーシス』。検索結果ではじき出された説明の通り、曲の第一印象は「死を意識した歌」だった。

Vo.藤原は、楽曲『アポトーシス』が生まれたのは自身の誕生日だったとラジオで語っていた。1年前、29歳の誕生日を迎えた際にアコギで弾き語ったのが『アポトーシス』の原型だったと言う。

歌詞には「落ち葉」「空と向き合う蝉」「校舎も駅も古びれてゆく」など、終わりを象徴する言葉が並ぶ。普段は意識していない、けれど誰にでも必ず訪れる「その時」を鮮明に描いた歌詞に、はっとさせられた方も多いのではないだろうか。イントロから続くリフは、決して変えられない生物のプログラムを表現しているようにも思えてくる。

「アポトーシス」

そして、1番印象的なのがラストの部分。

出だしこそ静かに始まるものの、『アポトーシス』は曲が進むにつれてさまざまな楽器が折り重なっていく。どんどん音が重厚になっていき、ラストのサビで盛り上がりをみせたところで、途端に曲はピアノと歌のみに切り替わるのだ。

「ロウソクの増えたケーキ」の歌詞があるが、ラストの藤原の歌い方は、まさにロウソクの火を優しく吹き消すような息づかいに感じた。そして、ロウソクの火が消えるようにこの曲は終わりを迎える。曲が終わった時に、誰かの一生を見届けたかのような、そんな気分にも思えてくる。

「死」がテーマなのだから、聞いていて悲観的な気持ちになってしまうのも仕方がない。でも、『アポトーシス』は不思議とあたたかさを感じる楽曲にも思える。辛い事実を聴き手に気づかせながらも、どこか包み込まれるような感じがするのは、藤原のそっと寄り添うようなボーカルのせいだろうか。流れるような美しいメロディーのせいだろうか。

重いテーマではあるはずだけれど、きちんと向き合ってこんな美しい曲に消化してしまうのだから、やっぱりヒゲダン恐るべし。

「アポトーシス」 Piano ver.

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