【ライブレポート】Official髭男dism【Editorial】リリース記念オンラインフリーライブ 2021.08.28

2021年8月28日、YouTube公式チャンネルで3時間半にわたり開催された『ヒゲダン祭り』。プログラムのラストを飾った30分のオンラインフリーライブの模様を記す。

本ライブはゲストメンバー5名を加えた9人体制でスタート。管楽器のファンファーレが鳴り響き、1曲目に披露されたのは「I LOVE…」。ステージがピンク色の照明に包まれる中、スタンドマイクの前に立った藤原(Vo/Pf)が伸びやかな歌声を披露した。小笹(Gt)が奏でるオブリガートが曲に彩りを添える。途中、無数の小さな光が舞うような演出が施され、まるで多くのホタルが曲に合わせて踊っているようにも見えた。

「I Love…」 Live ver.

「短い時間ですが楽しんでいってください!」と告げた藤原が、続く楽曲「Universe」の前奏をピアノで奏でる。前曲の神秘的な空気から一転、ステージはハートフルな雰囲気に包まれていた。時折、楢崎(Ba)と松浦(Dr)が顔を見合わせて楽しそうに演奏しており、こちらもつい笑みがこぼれてしまう。

一瞬画面が暗転すると、次に披露されたのは転調だらけで話題の難解曲「Cry Baby」。どこを切り取ってもエネルギッシュな演奏に、画面を隔てていても圧倒的なパワーが伝わってくる。赤と青の照明や、雷鳴が轟く演出が曲をよりダイナミックなものにしていた。ここまでの3曲を聴くだけでも、ヒゲダンの曲の振り幅の広さをひしひしと感じる。

「Cry Baby」 Live ver.

ラストに演奏されたのは、8月18日に発売されたメジャー2ndアルバム『Editorial』のリード曲「アポトーシス」。流れる鍵盤の旋律をはじめとしたライブアレンジが、より楽曲を濃く彩っていた。ライブを見た後で知ったことだが、今回のライブは東京オペラシティで演奏されたものらしい。教会のようにも見えるステージは、この「アポトーシス」のために選んだのではないかと考えてしまう。それぐらい、この曲とステージの雰囲気が絶妙にマッチしていた。祈るように両手を合わせながら歌う藤原の声は、どこか強く、どこか儚げで気持ちを揺さぶられる。曲後半に、天井に『Editorial』のジャケットが出現する演出も圧巻だった。

アルバム『Editorial』収録の4曲から構成されたオンラインフリーライブ。この4曲だけでもヒゲダンの魅力は十分に伝わるし、ヒゲダンのライブを初めて見た人でも“聴いたことがある”曲があったのではないだろうか。近い将来、彼らのヒット曲「Pretender」を披露しないライブも増えてくるのだろうか──と思うと少し寂しい。一方、それでも十分満足できてしまうのが、今のヒゲダンの強さを示しているようにも感じる。

【セットリスト】

  1. I LOVE…
  2. Universe
  3. Cry Baby
  4. アポトーシス

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