【レビュー】「青いの。」go!go!vanillas

2022年3月30日リリースのgo!go!vanillasのニューシングル『青いの。』。3月16日より先行配信された表題曲「青いの。」は、軽快なピアノが鳴り響くアップテンポな青春ソングである。

1年前にリリースされたアルバム『PANDORA』では、バンドの音楽性を広げるようなエモーショナルな曲も多かったように感じたけれど、今回の「青いの。」を聴くと、やっぱりバニラズは明るい曲調が似合うなと思ってしまう。

「青いの。」

バニラズらしい自然と口ずさみたくなるようなメロディーにあわせて、楽曲は入り組んだバンドアンサンブルが続く。

この曲は冒頭、1番、2番、ラストと同じサビのフレーズが繰り返されるが、それぞれアレンジが微妙に異なっている。例えば、1番サビはうねるようなベースが、2番サビは細やかな音を鳴らすギターやピアノが、それぞれ際立って聴こえてくる。ラストサビでの転調で、盛り上がりが一段階増すのも圧巻。曲が進むに連れて違う表情を見せるアンサンブルは、決して同じ毎日がないことを表しているのかもしれない。

そして、明るいサウンドとは裏腹に、歌詞はどこか切ない心情が読み取れる。〈つかみそこね 儚く 赤い糸切れた音が耳に刺さる〉〈君の手とこの手をすり抜ける〉〈SOS 本当に痛い〉──聴きながら、自身の若く多感な時期を思い返した人も多いのではないだろうか。

そんな中で、サビのラストは〈青い春 見つけるさ〉と希望を感じるフレーズで締めくくられるのも印象的だ。直近は、コロナ禍で思うような学生生活を送れなかった人たちも多いだろう。「青春」=学生と想像しがちだが、実際には明確な定義はなく、青春はどこまでだって続いていく。だからこそ、アップテンポな曲に身を乗せながら願ってしまう。多くの人の〈青い春〉が、できるだけ長く続くようにと。