【レビュー】「Storage time」ザ・モアイズユー
何気ない一瞬一瞬が切り取られている。
2021年8月18日に発売された、ザ・モアイズユーのフルアルバム『Storage time』。タイトルの“time”を象徴するように、アルバムは8月2日に先行配信された楽曲 「秒針に振れて 」で幕を開ける。ザ・モアイズユーらしい美しいメロディーラインが特徴のミディアム・ナンバーで、冒頭の時計の音も印象的だ。アルバムを華やかに彩っているのが、3曲目の 「MUSIC!! 」。豊かなホーンセクションと弾むようなリズムが、こんな時代だからこその音楽の大切さを教えてくれる。
アルバムには既存曲「すれ違い」「悲しみが消える頃」「19」「環状線」も収録。共通して言えるのは、耳馴染みのいいメロディーラインだろう。特に 「すれ違い」はサビのメロディーと言葉のはめ方が秀逸。本多(Vo)の温かみのある歌声とともに、歌詞が心にすっと入ってくる。
大切な人との別れが綴られたナンバー 「Afterglow」も、アルバムのラストを締めくくるのに相応しい。ある夏の青春、恋人との別れ、人生においての決意、そんな生きる中での“ある日の出来事”がピックアップされ、アルバムに保存(Storage)されている。1曲1曲の歌詞描写が美しくて、自然に自分の体験と重ね合わせてしまう。聴けば、なんでもない日常すら愛おしいと思えてしまうアルバムだ。