【書評】「ゴーストフォビア」美輪和音

「ゴーストフォビア」感想・レビュー

ホラー系はあまり得意じゃないけど、楽しく読めた作品(映像だったら無理かも)。ライトに読める理由は、個性豊かなキャラクター設定にあると思う。

自分にサイキック能力があると思い込んでいる等々力芙二子(本当に力があるのかは不明)と、妹の三紅は、行方不明になっている女子大生を一緒に探すことになる。しかも女子大生が住んでいたのは、かつて監禁事件があり、亡くなった被害者が幽霊になって現れると噂されているマンション。女子大生の部屋を訪れると、マンションを管理している不動産屋の人間だという神凪怜が来ていた。

3人が部屋中を捜索する中で、三紅と怜はお互いが体に触れ合うと、三紅は幽霊の声が聞こえ、怜は幽霊の姿が見えることに気づく。しかし、三紅は他人に触れるのも触れられるのも苦手な接触恐怖症(アフェフォビア)、怜は幽霊に強い恐怖心を抱いている幽霊恐怖症(ゴーストフォビア)だった。

表題である『ゴーストフォビア』のほか、3編の短編が収録されている連作集。流れとしては、4編とも三紅と怜が自身の恐怖症に耐えながら幽霊の案内を頼りに事件を解決していくのだけど、この2人の名(迷?)コンビっぷりが秀逸。ネガティブなうえにいつも芙二子に振り回されっぱなしだけど、正義感の強い三紅。口は悪いし幽霊がからむとすぐに逃げようとするけど、最終的には持ち前の推理力を発揮して事件の真相を暴く怜。読んでいくうちにどちらも愛おしくなるキャラクターだ。なぜ恐怖症を抱えることになったのか、回が進むにつれて自分の過去を話し合える仲になっているなど、2人の関係性が少しずつ変化しているのも微笑ましい。

そして、除霊しようとして自分が取り憑かれたり、好きになった男性が事件の犯人だと気づかずにデートに行ったり、とにかく場を乱しまくる芙二子が良いアクセントになっている。三紅と怜だけでも話は十分成り立つんだろうけど、ぶっ飛んだ芙二子の存在がこの物語を明るくしてくれているのは間違いない。

最初の3編で少し余韻を残しつつ、最終話ですべての謎が一気に解消されるのも爽快だった。個人的には三紅と怜のその後が気になるので続編に期待。