【ドラマ評】「100万回言えばよかった」
ドラマのレビューとか書いたことないけど、
このドラマとても好きだったので感想残しておきたく、、
ネタバレ含みますので、これから見る方はご注意くださいm(_ _)m
「100万回言えばよかった」感想・レビュー
2023年1月~3月に放映されたドラマ『100万回言えばよかった』。主人公・悠衣の恋人・直木は、何者かに殺され幽霊となってしまう。ただし、死ぬ前後の記憶は残っておらず、犯人が誰か分からない。そんな中、自分の姿が見える刑事・譲と出会った直木は、悠衣を含めた3人で事件の真相に迫っていく。
──内容はざっとこんな感じで、1話を見た段階ではミステリードラマなのかと思っていた。けれど、最後まで見た今はそうではなかったのだと思っている。『100万回言えばよかった』は、事件の真相を暴くことに焦点をあてているわけではない。あくまでこの物語のテーマは、「大切な人には普段から気持ちを伝えておかなければならない」ということだ。
それを象徴していたのが、最終回の描き方だ。ドラマでは、最終回直前の9話で事件はすべて解決。最終回では、成仏する前に1度だけ実体化できた直木が、悠衣を含めた大切な人たちと過ごす最後の1日が描かれていた。悠衣とデートを楽しみ、譲を含めた3人でゲームをし、弟、譲の姉・叶恵、幽霊の先輩・昌道と、お世話になった人たちに挨拶に行く。ラストで直木は悠衣と思い出の海へ向かい、「全部は言いきれない」と前置きしつつも、「愛してる」と悠衣へ何度も告げながら消えていく。ここで『100万回言えばよかった』のタイトルが回収されるのだ。
直木の事件は「人はいつ死ぬか分からない」ということをより浮き彫りにするためのものであって、このドラマの本質とは異なる。ミステリードラマだったら最終話で事件が解決するだろうけど、『100万回言えばよかった』では、この構成がきっと正しいのだ。そういえば、1話~9話の間では時間が飛ぶように過ぎていたが、最終話だけはたった1日を丁寧に描いていたのも印象的である。
何気なく過ごしている日々でも、その先に何が待っているかは分からない。それはフィクションの世界だけでなく、現実の世界でも同じことだ。1日1日を大事に生きること、相手に気持ちを伝える大切さを、改めて考えさせられたドラマだった。