【レビュー】「グラデーション」SUPER BEAVER

心の中に渦巻く感情。それは決して目に見えない。けれど、見えないからこそ良いと思うこともある。苛立ち、憤り、不安、嫉妬──そんな自分の中に潜んでいる邪悪な感情たちを、目の前の相手に知られずに済むからだ。

映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編』の主題歌。作中では、かつての仲間同士の決戦が描かれている。歌詞はおそらく、そんな映画のストーリーから導かれたものなのだろう。それぞれの登場人物たちが抱えているであろう感情の渦は、曲中では〈グラデーション〉という言葉に置き換えられている。音数の少ない冒頭に対し、ストリングスが入って一気に盛り上がるサビは、隠されていた気持ちが堰を切ったように流れ出すさまを描いているようだ。

心の中に渦巻く感情。それは決して目に見えない。けれど、自分の中で生きている感情たちは、どれも噓ではなく本当の想いだ。もし感情が目に見えたとして、綺麗なグラデーションになっているのだとしたら、それはとても素敵な光景なんじゃないか。そんな風に考えられたら、行き場を失っている感情たちにも、もう少しちゃんと向き合っていける気がする。

「グラデーション」