【書評】「マスカレード・ゲーム」東野圭吾

「マスカレード・ゲーム」感想・レビュー

そう、これはゲームなのだ。仮面をかぶっている人物を見つけ出し、犯行を阻止するゲーム。勝つためには、どんな手段を選ぶのか、自分はどんな役割を担うべきなのか、思考を巡らせなければならない。

被害者が正面からナイフで刺されるという犯行方法が一致した、3つの殺人事件。調べていくうちに、3つの殺人事件の被害者は、それぞれ人を殺めてしまった過去を持つことが分かる。今回の事件たちは、過去の事件の被害者遺族による復讐か?──そんな中、被害者遺族たちはクリスマスに同じ場所に宿泊することが判明。宿泊先はなんと、ホテル・コルテシア東京。4つめの事件は起きてしまうのか。過去2度にわたって殺人未遂事件が発生したホテルが選ばれたのは、はたして偶然なのか。新田をはじめとした警察たちによる、3度目のホテル潜入捜査が始まる。

“ホテルに潜入して殺人事件発生を未然に防ぐ”というお馴染みの展開。過去作と舞台が同じなだけにマンネリ化しそうなところを、今回は新登場の梓警部(部下の能勢曰く「暴走していると自分では気づけない」)が搔き乱してくれる。現在はコルテシア・ロサンゼルスに勤務している山岸も、事件を受けて急遽帰国し、新田とのバディ復活。ゲームの結末はいかに。