【Book/レビュー】「激流」柴田よしき

「激流」柴田よしき

中学時代に発生した、1人の同級生の失踪事件。そこから20年経って明かされる真実。文庫本前後編・合計約900ページの大ボリューム作品だけに、読みごたえは抜群である。

これから読む人へ先に伝えておくと、本作では各登場人物が昔の記憶を思い出したり、新しく出会った人物から話を聞いたりすることで徐々にさまざまな事実が浮き彫りになっていく。そのため、ちりばめられた伏線がラストに綺麗に回収されるようなミステリー作品を期待している方には向かないと思う。それでも、欠けていたパズルのピースが少しずつ集まっていき、核心に迫っていく様子は読んでいてハラハラした。

また、本作には明らかな「主人公」がいない。物語は失踪した女子中学生「小野寺冬葉」の同級生6人それぞれの視点で進んでいく。強いて言うなら6人すべてが本作の主人公であり、6人いれば6つの人生があることを強く感じさせられる。恋愛、仕事、家庭…6人それぞれが問題を抱えて生きていて、中には自分自身と重ねて読み進められる人物も見つかるのではないだろうか。

タイトルである「激流」というワードが、物語の随所であらゆる人物によって呟かれるのも印象深い。激流のように次々と変化する展開に、じっくり身を委ねてはいかがだろうか。

激流[上]

激流[下]

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